何故Yoshikiはドラムを激しく叩き、時に破壊するのか。それがパフォーマンスなんかではなく、体が壊れるほどにドラムを激しく叩いても破壊してもおさまることのない衝動が彼の中にあり続けるんじゃないだろうか。
We Are Xを見ながら、そう感じた。
私がXと出会ったのは中学生になった時。今から27年も前のこと。
それまでB'zを聞いていた私の世界が一変した。
知ったきっかけは、幼馴染がXにハマりYoshikiがいかに美しいかを説きCDを貸してくれたことだった。
Yoshikiの書く歌詞には必ず「薔薇」という単語が入っているんだよと教えられて聞いてみると、本当にそうだった。しかし私がXを知って一番心惹かれたのはhideの存在だった。
真っ赤な髪の毛に派手なギター。
綺麗だと思った。
(私が知った頃はもっと髪の毛が長かったんだけど、この写真が一番好きなので)
男の人が化粧をし髪の毛を派手な色にして、激しい曲を演奏する。
歌詞は退廃的。
中二病を進行させるにはじゅうぶんな要素ばかりだった。
中学生の頃、クラスでXの好きな曲の話になると「俺はStanding Sex」と顔色ひとつ変えずに言える男子のことを尊敬していた。どうしてSexという単語を顔色ひとつ変えずに言えるのかと…たとえ曲名だとしても抵抗はないのか恥ずかしくないのか…!?こいつ…やりおる…と思っていました。
XがX JAPANとなり、DAHLIAというアルバムを出した頃、私はちょっと熱が冷めた。
なんだ、売れたら曲が穏やかになっちゃうのかよ。つまんねー。って。
X JAPANが落ち着こうとしているように見えてしまった。
もちろんDAHLIAやRustyNailは激しい曲だし、とくにRusty Nailは大好きなんだけれど、どこか物足りなく感じてしまったアルバムだった。
私はアルバムjealousyのような勢いと熱量をX JAPANに求めていた。
映画を見て、その頃Yoshikiの身体も心も、Xも、満身創痍だったということにようやく気づくことになる。
落ち着こうとなんてしていなかった。抱えきれない衝動を発散できなくて苦しんでいたんだと感じた。
Toshlが洗脳され脱退となり最後のライブが行われた時、メンバーそれぞれはどんな気持ちだったんだろうというのをこの映画を見たことでようやく少しだけ知ったような気になった。
最後のライブのステージ上でhideが流した涙は、解散が悲しかったとか、ラストライブに感動したとかではなく、悔し涙かもしれない。
hideがこの世から去ってしまったのはそれから半年後。
映画をみると、ますますhideが死んだことを受け入れられなかったし、当時報道された自殺というのは信じられなかった。本当に、本当に、本当に、どうして死んでしまったんだろう。辛い。
hideはファンを大事にし、やんちゃなキャラクターや見た目とは裏腹にXのことを真面目に考えていた人だった。
(hideの絵がやたらと描きたくなった)
映画の中でToshlとYoshikiがhideとTAIJIのお墓参りに行くシーンがある。
hideのお墓はとても立派なんだけれど、TAIJIのお墓はごく普通のお墓で雑草が生い茂っていたことが対象的だった。
私はTAIJIが脱退したと思っていたけれど、実際にはYoshikiがクビにしたんだとはじめて知る。
TAIJIがやってはいけないことをやってしまったからだそう。
具体的に何をしたのかはYoshikiは語らなかったけれど、きっとそうせざるをえない状況だったのでしょう。
X JAPANが解散した頃、自分がまだまだ子供(と言っても20歳くらいだったのですが)だったせいなのか、彼らの背景を想像することが全くできなかったのだと思う。
久しぶりに映画を見てあっという間の1時間半を感じました。
もっと見たかった。
応援上映みたいな感じで、「エーーーーックス!」って一緒に叫んでXジャンプしながらサイリウムをXの形にして観てみたいと思った。
映画を見て終始泣きっぱなしだった。
twitterやどこかのブログで「泣いた」という感想をよく目にしていたけれど、正直「今はそんなにファンじゃないからそこまで感じないだろうな」と思っていた。でも、映画を見ている間ずっと胸が張り裂けそうな想いでいっぱいになって泣いてしまった。
色々あったけれど、メンバーは一番最初とは違うけれど、こうしてX JAPANとして今、マディソン・スクエア・ガーデンでライブをするという夢が叶って良かった。Toshlが洗脳から覚めてまた戻ってきてくれてよかった。こうして映画にして語ってくれて本当にありがとう。
そんな想いがずっと溢れていた。
夫にこうしてWe Are Xの感想を伝えたところ「今のところPATAの話題がないんだけど…」と言われ、思い出したように「PATAは出ている場面の多くで瓶ビールを飲んでおり、元気そうだった」と伝えました。
私はPATAがずっと変わらない雰囲気で存在していることもまたXの復活にとって重要な要素だったとWe Are Xを見て改めて思った。
いっときでもXのファンだった頃があり、少しでも解散やメンバーの死に心を痛めた経験のある人には「今はもうそれほどファンじゃないし」と思っていたとしても、ぜひ、映画館の大きなスクリーンで見て欲しい。
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