桃を食べました
桃を食べた。
この時期は毎年福島の親戚からおいしい桃が届く。
今日食べた桃は、通りすがった小さな八百屋で買った宮城県の蔵王産のものだった。
福島の桃は毎年食べているけれど、蔵王の桃ははじめて見たので食べ比べをしてみようと思った。
八百屋のおばちゃんいわく、蔵王の桃は福島のと違い捥ぎたてはりんごのようにバリバリと固いとのこと。
私は中年女性を見かけると「おばちゃん」と思ってしまうし、他人と話すときには「あそこの店のおばちゃんが…」と話したりするけれど、時折夫から「おばちゃんっていうけど多分君より年下だよ」と指摘されて自分が客観性を失いつつあることを自覚してはまた失っていく。
桃は買ってから3日後に食べたせいか、もうバリバリではなかった。ただ少し固めな桃ではあった。
私はとろとろの桃よりも、こうした少し固いみずみずしい桃が好きだ。
福島の桃のほうが甘いだろうと予測して蔵王の桃から食べてみたけれど、とても甘かったので結局は福島の桃のほうがすっぱく感じてしまった。
どっちを先に食べても同じ結果になったような気もする。
この世界で桃をはじめて発見したひとのことを想像せずにはいられない。
「ヤバイ…何これ…」って絶対思ったと思う。きっと桃を発見した時に「ヤバイ」っていう単語が生まれたに違いない。
桃は超おいしい。
超あまくてみずみずしい。
こんな食べ物がこの世に存在するなんて、この世とはいったい何なのだろうか。
天国なんじゃないだろうか。神様が桃を食べたくてこの世界を創り出した結果いろいろあって何か勝手に人間とかできちゃったんじゃないだろうか。人間、それは桃の副産物。
よくこの世は地獄だと言われることがあるけれど、地獄だったら絶対に桃は存在しない。
桃の存在がこの世は天国であることを証明しているとしか思えない。
桃はおいしい。
客観性と語彙も失いつつある私には結局蔵王の桃と福島の桃の違いはわからなかったけど、おいしかった。